村上春樹「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド 下」

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)

 少しずつ接近していった「世界の終わり」と「ハードボイルド・ワンダーランド」だが、まさかラストがこんな結末とは。すっきりしない。「羊をめぐる冒険」でも鼠が結局どうなったのかよくわからなかったし、これは頭をつかって考えろってことか。でもまあ上手い具合にクライマックスをむかえて、作者が読者にイメージを強制させてないとこが良いのかもしれないけれど。
 作中に登場する「カラマーゾフの兄弟」がちょっと気になる。でもロシアの小説は長いからなあ。。。
 相変わらずこの作品のテーマも喪失と模索だったのだろうか。

「良い樵というのは体にひとつだけ傷を持っているもんさ」

「世界は人の心の中で終わるのです」

そこには確かに彼女の心があり、僕はそれを感じることができるのだ。それ以上の何を求めることができるだろう?