村上春樹「海辺のカフカ 下」
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/02/28
- メディア: 文庫
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最近サークルの先輩が急逝されて、その影響かもしれないけれど「死」に関する描写が非常に興味深かったです。
そして読んでいて感じたこと。村上春樹って初期三部作から一貫してずっと一つのテーマを扱った小説を書いているのかもしれない。作品ごとに切り口は異なりつつも。そしてそのテーマはあまりに大きくて一口に説明することはできない。って考え過ぎか。
とりあえず「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」より面白かった。有名な作品だけある。
「芸術家とは、冗長性を回避する資格を持つ人々のことだ」
「誰もが恋をすることによって、自分自身の欠けた一部を探しているものだからさ」
「もしほんとうに自由を与えられたりしたら、たいていの人間は困り果ててしまうよ。覚えておくといい。人々はじっさいには不自由が好きなんだ」
「相手が誰であっても、何であっても、話し合わないよりは話し合った方がいい」
人間にとってほんとうに大事なのは、ほんとうに重みを持つのは、きっと死に方の方なんだろうな、と青年は考えた。死に方に比べたら、生き方なんてたいしたことじゃないのかもしれない。とはいえやはり、人の死に方を決めるのは人の生き方であるはずだ。
今日の世界の中心的なテーマは「現状維持」であるようだった。
僕はその凍てついた痛みに、自分の存在をかさねることができる。
僕が必要とすれば、彼女はいつもそこにいる。