ポール・オースター「幽霊たち」

幽霊たち (新潮文庫)

幽霊たち (新潮文庫)

心霊モノかと思いきや、全然そうでもない。なんだか不思議な、ミニマムな話。
安部公房とかカフカとか、そういった類いの不思議具合。
自己と他者という切り口で存在というテーマに迫ったのであろうかこの作品、貧弱な脳みその自分には非常に難解であった。
ブルー、ブラック、ホワイト、ブラウンにヴァイオレット、ほとんどの登場人物がそれぞれ「色」を冠した名前であるだけに、その存在の危うさを際立たせている・・・のかな。うーん難しい。
でもこういうわけわからん小説は好きです。個人的に

当たりもあれば、はずれもあるさ

もう俺の上にボスはいないんだ。俺のボスは俺自身だ

まるで毛穴を通して夜そのものが彼の内部に押し入ってきて、とてつもない重さをたたえて彼のうえに座り込んでしまったかのように

それで俺は―――俺はなんのためにいたんだ?