福井晴敏「川の深さは」

川の深さは (講談社文庫)

川の深さは (講談社文庫)

 地下鉄サリン事件と絡めた小説らしいということで読んでみたけれど、どちらかというとそれを通り越して自衛隊公安調査庁など国の内部に深く焦点を当てたストーリーのように感じました。
 「市ヶ谷」*1桜田門」「赤坂」などの名称が飛び交い、なかなかすんなり理解できず読み飛ばしてしまった箇所も多数。やっぱりあえて難しい言い回しにしている文章はいやらしいなあ、と考えたり考えなかったり。(考えました)

「それがなんであってもよ……。することがあるってのは、いいよ……」

だが浅薄な自己欺瞞は摂取酒量の増加をもたらすばかりで、問題解決の一助にすらならなかった。

そしてそう思う人の数が一定に達した時、それはまぎれも無い事実として実効することになる。

 ある意味で民主主義って、やっぱり洗脳の上に成り立っているんだろうなあ

人生なんて、実に簡単なことで根本から変えられてしまう。

自由を満喫するには、その何倍もの不自由が必要不可欠であるとわかるのに、多くの時間はかからなかった。

今日は、昨日よりマシな今日になったのか……?

*1:自衛隊の駐屯地。三島が割腹したところ