三島由紀夫「潮騒」

潮騒 (新潮文庫)
三島由紀夫に対しては、ナルシストで男根主義みたいな偏見を持っていますがそのへんどうなんでしょう。この「潮騒」は気持ち悪いくらい潔白な純愛小説。純愛?純すぎてむしろ愛じゃないような。ヒロインを襲おうとした野郎が蜂に追いかけられるとかどんな喜劇だ。ただ、古代ギリシアの作品を強く意識しているようなので、ドロリとした三島作品とは一線を画く、らしいです。あとがきによると!主人公ほどじゃなくていいからこなれた肉体と、主人公くらいの度量はほしい*1。がんばらねば。

新治は日々の生活に、別に音楽を必要としなかったが、自然がそのまま音楽の必要を充たしていたに相違ない。

彼女は未知のものには決して心を煩わさせないようにしていたからである。

*1:台風で船が難破しかけるシーン