椎名誠「哀愁の町に霧が降るのだ 中」

哀愁の町に霧が降るのだ 中 (センチュリー・プレス)
エッセイなのに三部作。椎名誠のB級適当センスが輝きまくり。過去と現在が適当に錯綜しながら話は進むのだが、現在の部分はもっと削ってよいような感じ。でも本人は全然考えていないんだろうなー。
上巻に続いて、アル中気味青年4人の共同生活が始まるのだが

≪火がみだりに燃えているのを見たらすぐ消すこと≫
イサオは毎日もっと早く帰ってこい!≫
≪鼻をかんだ紙はすぐゴミ箱へ≫
≪人生はめしである≫

こんな標語が壁一面に張られた部屋なら俺も住みたい笑。単純にキラキラした青春回想とかじゃなくて、じめじめした部屋でトランクの上に新聞紙を敷いて簡易テーブルにするなど、チープでまったく洗練されていない感じが結構リアルで好感度大。文章もとろーんとして洗練されていないので、引用しにくいなー。

しかし聞いてくれ。けさタバコを買いにいったらとてもいい天気だったのでボクはうれしくなり手をパチパチたたいていたらお昼になってしまった。相手を突き倒すことばかり考えている椎名や、歯を磨くために生きているようなイサオや、恋人のノリちゃんのために勉強しているような木村晋介など、いろいろな人間は生きる道を見つけている中で、ボクはいったいどうしたらいいのだろう。一日パチパチ手をたたいていていいのだろうか。(中略)ボクはげんなりしながらもまたパチパチと手をたたくぞたたくぞ。