村上春樹「羊をめぐる冒険 下」

羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)
 終わった・・・。不吉なカーブといい、前作のピンボール工場といい、この作者は無機質な怖さを描くのが上手い気がする。

僕に必要なのは数字で正確に表せるリアリティーなのだ。

「しかし父親は七十三になって、羊はまだみつかりません。それが存在するのかどうかさえ私にはわかりません。」

「そんなこと考えもしないし、考えてもわかりっこない。干し草を食べたり、小便をしたり、軽い喧嘩をしたり、おなかの子供のことを考えたりしながら冬を越すんだ」

許すことと憐れむことと受け入れることを中心に。

「でも暇つぶしの友だちが本当の友だちだって誰かが言ってたな」