村上春樹「若い読者のための短編小説案内」

若い読者のための短編小説案内
 短編ってなんだかお洒落だしー、とっつきやすいしー、好きだわーって感じだったけど、これ読んでちょっと意識変わった。村上春樹が適当に「第三の新人」世代の短編の名手を選び、あれこれ分析している内容。クールな方向に「逃げる」吉行淳之介カフカの「変身」とは真逆に自我を不鮮明にすることで自己防衛する小島信夫、エゴをひた隠しにすることによって世界をなるべく平静に保とうとする安岡章太郎、余分な説明を一切排除することによって自我の存在を不明瞭にした庄野潤三、などなど。ほとんどの作家が「逃げ」という意味合いのキーワードによって括られている。確かに本気で内面吐露しようとしたら、短編じゃおさまりきらないよな。とりあえず村上春樹はそういった自我の葛藤などをさらりとかわす短編が好きなんだろうなってことは感じました。紹介されている作品全て未読なのでなんとも言えないのが残念なところ。

僕はいわゆる自然主義的な小説、あるいは私小説はほぼ駄目でした。