村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)
 「風」、「ピンボール」、「羊」の初期三部作に連なる物語。結構繋がっているので、「羊をめぐる冒険」は読んでおいたほうがいいのかもしれない。これまでの作品とは異なり、いくらか俗っぽさ(家族の存在や「マクドナルド」といった固有名詞など)が生まれてくる。話の展開もまた俗っぽくなっているのだが、これはこれで面白い。表紙で踊っている男女は僕とキキなのだろうか。

僕が僕自身についていったい何を知っているだろう?

でもとにかく、何か喋ろう。自分について何か喋ることから全てが始まる。それがまず第一歩なのだ。正しいか正しくないかは、あとでまた判断すればいい。

僕は仕事のよりごのみをしなかったし、まわってくる仕事は片っ端から引き受けた。

僕は誰とも結びついていない。それが僕の問題なのだ。

オドルンダヨ。オンガクノツヅクカギリ。

「何を求めるかさえはっきりしていれば、君は君の好きなように生きればいいんだ。」

「でもそうじゃない。人間は一瞬にして年をとるんだ」