シェイクスピア「マクベス」

マクベス (岩波文庫)

マクベス (岩波文庫)

 シェイクスピア4大悲劇のひとつ、マクベス。信頼厚い臣下だったマクベスが転落していく様がまざまざと・・・いや、もうちょっと深く描写してほしかった気がします。悲劇にしてはあまりに短い作品。ただ、宮中観劇は一般興行よりも時間が少ないため、各章を省略したマクベスが現在公表されているマクベスである(つまり本当のマクベスはもっと分量があった)という説もあるようです。

いや、目に見える危険など、心に描く恐ろしさにくらべれば、高が知れている、

お願いだ、黙っていてくれ、男にふさわしいことなら、何でもやってのけよう、それも度がすぎれば、もう男ではない、人間ではない。

いいえ、この世に生きているのだ、ここでは、悪いことをして、かえって賞められ、よいことをして、危ない目にあい、ばか呼ばわりもされかねない、

たとえどのような位をもらったからといって、この胸のうちにあんな重い心を持ちたくはない。

王とは名ばかり、それもいつ自分の肩からずり落ちることか、巨人の衣装を盗んで着用におよんだ小人のみじめさ、