穂村弘「にょっ記」

にょっ記

にょっ記

 久々に穂村弘の作品を読んだ。やっぱりこの人、変だ。変すぎる。

 でも面白い。

 文体としてはとても情けないんだけど、情けないからこそ優しい感じ。

 妄想と現実が入り交じる日記風エッセイ。

幾つもの夏の間中、数えきれないほど森や林に出かけて一匹だけ。
それも一センチほどのコクワガタだ。
(中略)
子供には、徒労とか無駄とか虚しいとかみじめとかいう感覚がないのだろうか。
前方に膨大な未来の時間があるからか。
それとも何も考えていなかったのか。
何かをやろうとして結果が出ないと、すぐに失望したり絶望したりする今の私は、「クワガタ捕り」に懐かしさ以上の眩しさを感じる。