小松和彦「憑霊信仰論」
- 作者: 小松和彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1994/03/04
- メディア: 文庫
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(運の)ツキ、憑喪神、座敷童、呪詛、生霊、犬神etc...とにかく「憑依」に関して網羅的に、民族学からではなく人類学の観点から論じられています。変な方向にオカルトオカルトせず、真面目に研究している姿勢がうかがえるので安心して読めます。
クダにつかれた人の行動の異常さも興味深い。・・・あべこべ、さかさまのイメージが垣間見られる。たとえば、「茶碗の手前から食はずに、向こふ側から食ふ」ことや、「痩せていながら家の中をガタガタ」と、まるで大男のように歩く
つまりこの神霊は使い方次第で、善にも悪にもなるのである。
言葉も使い方次第で善にも悪にもなるよね。あと式神を使う際には陰陽師本人の文句が必要っていうのも面白いと思う。言葉に出さなければ、具現化しないという意味において。
仏教的にいえば“供養”を、神道的にいえば“祀り上げ”を施さなかったときに、妖怪となって出現することになるのである。
やっぱりモノを大切にとか食べ物を粗末にしないとか、感謝の心を忘れたときに災いが起こる...ものなんだろうか。