夏目漱石「こころ」

こころ (新潮文庫)
やーっと読了。最初のうちはあらすじ知ってるから、先生いつ死ぬんだろドキドキ☆で読めたけれど。遺書のあたりからダレてダレて仕方が無かった。先生はウジウジしてるし、私はなんやたら先生先生と慕ってるし*1、Kは小難しいこと言って死ぬし、お嬢さんというか妻が可哀想すぎるだろこれ!身近な人間に2回も死なれたくないよなー絶対。という陳腐な感想。中年になって読むとまた別の印象を得られるらしいが、中年になって読む可能性は限りなく低いような。近代日本人の苦悩ねえ・・・。
車輪の下」やら「若きウェルテルの悩み」やら、いわゆる過去の名著の良さがわからんのはやっぱり・・・。なんだろう。そういう頭なのかな。ドンマイ俺。これ前半は面白かったのになー。やっぱり漱石は独特の当て字が面白い。
ロンドンの大学のとある教授は「三島由紀夫の自殺と漱石の“こころ”の先生の自殺は何か関係があるのか?」と普通に聞いてくるらしい。侮れないぜイギリス人。

「私は寂しい人間です」

「近頃は知らないという事が、それほどの恥でないように見え出したものだから、つい無理にも本を読んで見ようという元気が出なくなったのでしょう」

「平生はみんな善人なんです(中略)いざという間際に、急に悪人に変わるんだから恐ろしいのです」

「ーーつまり事実なんですよ。理屈じゃないんだ」*2

「何でも遣りたい事は、生きているうちに遣っておくに限る」

恋の衝動にも、こういう際どい一点が、時間の上に存在しているとしか思われないのです。

私は冷ややかな頭で新しい事を口にするよりも、熱した舌で平凡な説を述べる方が生きていると信じています。

向うが内心他の人ぶ愛の眼を注いでいるならば、私はそんな女と一所になるのは厭なのです。

「精神的に向上心の無いものは馬鹿だ」

ちょっと引用しようとしたら、大量に引っ張ってきてしまった…。ちくしょう。

*1:最初ホモかと思った

*2:藤原正彦みたいなこと言ってる!