なかにし礼「赤い月 上」

赤い月〈上〉
冒頭の、

昭和二十年八月九日午後二時、牡丹江市警察署に一通の告発書がとどいた。

という一文に占める漢字の割合にたじろぎもしたけれど。「10冊のつまらない本よりは1冊の赤い月だよ」という言葉は嘘じゃなかったっす。面白い。
溥儀とか熱河とか国体護持とか五族協和とか、高校日本史選択者としては やっべーちくしょうなんだっけなこれ と非常にやきもきしながら読みましたが。やっぱり高校レベルの勉強は確実に生きてくるんだなー色んなカタチで。
激動の満州に移住した人の話。ってか下巻読んでないから適当なことしか書けないけれども。なんつうか「もうキレイごとだけじゃ生きていけない年になりました笑」って誰かが言ってたのを思い出した。山崎まさよしだっけな?あと「清濁併せ呑む」って言葉も浮かんだ。この言葉を嫌いな人も結構いるみたいだけれど、良い面も悪い面も受け入れるっつうことでとてもポジティヴな意味にとれる。「真に優れた政治家は清濁併せ呑む人材」っつったのは誰だっけな。うちの親父かそのへんか。
とにかくこういう希望も絶望も美しさも汚さも孕んだ小説は大好き。甘味も苦味もどちらかが欠けたら成立しないもんね。