藤田和日郎「うしおととら」全33巻

うしおととら (9) (小学館文庫)
2日かけて33巻一気に読み切りました。ふあ〜疲れた〜。シャーマンキングとナルトと地獄先生ぬ〜ベ〜を足して2で掛けたような面白さ。ってシャーマンキングとか全部読んでないのに断言するのも乱暴だけれど。細かい突っ込みをすると、白面の者がバリバリ九尾の狐なんだから、八岐大蛇なんかをぶつけてもよかったんじゃないかとか。せっかく東西で妖怪も分かれているんだし。あと東の長が天狗ってのもなあ。天狗は鞍馬って相場が決まってるから西の長にすればよかったような。東の長はぬらりひょんかと思ったけれど。しかしサトリまで登場してくるとはクオリティ高い。あと最大の敵、白面の者は他人の恐怖によって肥大化するっていう設定もなかなかいいなあ。怯えれば怯えるほど巨大化する妖怪(名前なんだっけ)がモチーフなんだろうな。最初の方の、愛憎が強すぎるうえに誕生した悲哀に満ちた物語もなかなか。
「憎しみ」と「協力」の二大テーマが全巻に渡って強調されている。憎しみ、すなわち瞋恚*1にかられていた主人公が目覚め、他者のために戦う姿を見ていると、自己犠牲こそ人間の最も美しい姿ではないかという気さえしてくる。そういやビートたけしも「男の本分は自己犠牲だ」とか言ってたな。イエスの隣人愛もそういった意味合いなのだろうか。いや、言い過ぎか。妖怪が日本の礎となるラストは秀逸。
少年漫画の金字塔、その名に恥じない作品でした。しかしなんでこんな熱くなってんだろ。

*1:三大煩悩の一つであり身を滅ぼすもの