美しく実る稲穂に

suzushige2006-09-04

 四時半頃起床。何だこの寒さ。ブルブル。とにかく寒い。テントからもそもそと這い出し、体を温めようとラジオ体操(音楽は脳内再生)。ダメだ寒いもんは寒い。ここ田舎館村の村役場ではたんぼアートなるものが見られる、というニュースを仙台で見たことを思い出し、まだ開いていない道の駅の売店へ。案の定張り紙がしてあった。たんぼアートを見るためには村役場の6Fに上がらなければならないらしい。役場が開くのは・・・9時!?現在5時。どうしよう。寒い。
 朝露に濡れたテントを干しながら食パンをかじる。そういえば昨日の銭湯って朝風呂やってるのかな。ちょっと行ってみよう。開いてなかったらさっさと先へ進もう。ということで、支度をして走り出す。なんと銭湯は朝の5時から開いていました。神!お風呂に入って体を温めて、喉が渇いたのでサイダー飲んで、休憩室で旅日記をまとめたりしてるうちに朝の連ドラが始まる。携帯もぼちぼち充電させてもらったし、行くか村役場。ちょっと来たルートを戻って役場へ。おじいちゃんおばあちゃんのグループがちらほら平日の朝早くからよく来るなあ。あ、俺もその一人か。6Fまで上がって写真を撮る。これ(写真参照)全部稲でできてるってすごい。去年は浮世絵とか作ったらしい。ほえー。出発しようと自転車の横で準備運動していると、おばあちゃんから声をかけられる。なんでも東京からきたらしい。3ヶ月に一度は夫と一緒に車で日本をまわっているとのこと。ひゃーお金あるなあ。素敵な余生。
 と、いうわけで結局9時過ぎに田舎館を出発。普段と比べてとても遅いスタートだ。今日はどこまで行けるのやら。向かい風が鬼の様で、泣きそうな顔をしながら必死で進む。チャリダーにとっての本当の敵は、雨ではなく風なのかもしれない。スピードや精神面は風に左右されやすい。あまりにも情けない顔をして走っていたのだろうか、前を走る赤いポンコツ自動車が、スピードを落として俺と並走する形になった。なんだろう?と思って見てみると、浮浪者チックな髭もじゃもじゃのおじいさんが運転しながら、「◯△×これなんかの足しに×◯△」*1と言いつつ手を差し出してきた。瞬間的に「これはお恵みをもらえるに違いない!」と判断。「あーっすいませんありがとうございますっ!」と全くためらわずに受け取ると150円。ペットボトルが一本買える。ありがとう、大切に使わせていただきます。本当ならきっぱり断るべきところだったのかもしれないが、プライドや体裁守ってちゃ走れない。気がする。そうこうしているうちに7号を南下し碇ヶ関を通過。
 相変わらずずっと風は向かい風。日差しはグングン強くなる。アイス・キャンデーをかじったり冷やしラーメンを啜ったりしながら先へ進む。狂ったように進む。
 夕暮れ、大潟村付近まで到着。今日の目的地は道の駅ことおかだったのだけれど、明らかにもう日は暮れそうだ。気温も次第に下がってきている。冷えてきた。しかしテントを張ろうにも、周りの状況は道路か田んぼかといった感じ。道ばたにテント張れるようなスペースは全くないし、道の駅に行くには暗い中1時間半近く走らなければならない。こいつは困ったぞ。ピンチだ。と思っていたところ、コンビニを発見。ビールを一気飲みして体を暖める。テンションが少しおかしくなり、俺なら行ける!俺なら行ける!という方向に気持ちが持っていかれたので行くことに。飲酒運転だからこわごわと走る。進めど進めど田んぼ田んぼ。途中、◯◯(名前忘れた)の館というのがあり、チェーンがかかって車が入れないような駐車場を発見。侵入してテントを張る。もう営業終了してるし、明日朝早く出発するから野宿させてください。どうも田んぼの近くは水の音が気になる。ごうごうと流れる音がする。少し怖い。と思いつつ眠りに落ちる。

*1:方言が強くて聞き取りにくかった