パウロ・コエーリョ「アルケミスト 夢を旅した少年」

アルケミスト 夢を旅した少年 (角川文庫)
 自己啓発書を10冊読むよりも、これを1冊読んだほうが早いような気がする。説教臭く若干宗教的な内容ではあるし、山川夫妻の訳もそれほど上手いというわけではない。それでもなんか迷子になったりしたときに読むとよさそう。遠くへ行ってしまう友人に渡したいような一冊。引用したい部分が多すぎて困る。

羊飼いはおおかみに出会うときも、かんばつの時も、いちかばちか冒険してみるのだ。それが羊飼いの人生が面白いゆえんだった。

『幸福の秘密とは、世界の全てのすばらしさを味わい、しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ』

少年はそれまで、本を開けるたびに何か大切なことろ学べるという迷信を持っていたが、ここでは本は不必要な荷物だと決めたのだった。

「君こそもっと世界について書かれた本を読むべきだよ」とイギリス人が答えた。「本はその点、キャラバンのようなものだから」

「なぜなら、私は過去にも未来にも生きていないからです」

「男は出ていくことよりも、家へ帰ることを夢見るものです」と少年が言った。

「学ぶ方法は一つしかない」と錬金術師は答えた。「それは行動を通してだ」

「なぜなら、私たちは愛する時、もっと良くなろうと必ず努力するからです」