アゴタ・クリストフ『悪童日記』
- 作者: アゴタクリストフ,Agota Kristof,堀茂樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1991/01
- メディア: 単行本
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『悪童日記』を読んだのは2度目だけど(読んでるうちに読んだことを思い出した)、やっぱりどういう感想を持てばいいのかわかりません。社会的に汚いとされる部分から目をそらさず書かれている点と、主人公が2人の男の子という点で村上龍の『コインロッカー・ベイビーズ』と類似しているように感じましたが、『悪童日記』のほうが内面的描写の少ないハード・ボイルド風のためか、底知れぬ冷たさを感じる。
感情を定義する言葉は、非常に漠然としている。その種の言葉の使用は避け、物象や人間や自分自身の描写、つまり事実の忠実な描写にだけにとどめたほうがよい。
「なるほど、それでわしのことを思い出したってわけかい。十年もの間、忘れていたくせに。訪ねて来なけりゃ、便り一つよこさなかったくせに」