石川拓治「奇跡のリンゴ〜「絶対不可能」を可能にした農家木村秋則の記録〜」
- 作者: 石川拓治,NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2008/07
- メディア: 単行本
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そのへんの連続ドラマや冒険マンガよりも全然面白い!これは書籍化しようと提言した茂木健一郎グッジョブ。
まあ単なる無農薬栽培*1を目指す農家が試行錯誤するドキュメンタリーでしょう、と思って読んでてみたものの、かなり人間模様とかも絡められて深くて重い。
「木を見て、森を見ず」
とはよく言われる言葉だけれど、字面で理解しているのと心で理解するのとでは天と地ほどの差もあるわけで。この人は何十年もかけてこの言葉の意味をわかったんだろうなあ。こういう生き様はカッコいいと思うけど、カッコいいの一言で片付けられるほど軽くないし片付けられない気もする。自分が実際やるとなると、相当な度胸がいる。
生活していて知ってるつもりのことはいっぱいあるけれど、結局のところ論語読みの論語知らず。という展開にはなりたくない。自分が本質的にわかってることって、どれくらいあるんだろう。とりあえず「問題を解決するために奔走するのではなく、問題を招かないためにどう生活するか」ってのが大事な気がしました。
そして石川拓治の書き方も上手い!プロローグとエピローグのつなげ方が秀逸。ノンフィクションライターてこんな感じなのか。泣かせます。
ここでは全ての命が、他の命と関わり合い、支え合って生きていた。
「他から与えられたものしか利用出来ない人がすごく増えてしまった」
「私にできることはリンゴの木の手伝いでしかないんだよ」
高名な料理家が、「味は作るんじゃなくて引き出すもの」とか言っていたのをちょっと思い出した。人間奢るべからず。色々やってるつもりだけど、実は俺たちにできることってのはほんの小さなことだけなんじゃないか。
無農薬の作物を、安価で提供するべしっていう姿勢はすごく新鮮でカッコいい。やっぱり無農薬の作物って裕福な人たちの贅沢品っていう印象が強いもんな。
なんか良さが全然伝わらない書き方になってしまった。くそう。
*1:流行だし